玉置浩二

時は1984年17才、燃えそうで消えそうな恋をしていた時期の私の心に玉置氏は入り込んできました。男でありながら男臭さがなくむしろ妖艶。謎も多く、非人間的。納豆のごとくとことんまとわりつく歌唱法、地声にも独自のトーンと色気がある。どうみても男ウケするバンドでもない。そもそもバンドという印象が希薄。クールファイブごとく【安全地帯と玉置浩二】的な?にも見える。そのうえサウンドも詩も氏のイメージを生かしたようなどこか人工的な質感。ギターの音色(特に武澤氏パート)ひとつとってもこのバンド以外では聴くことができない表現力。この質感と個性が自分にピッタリはまり込みました。

初期の頃とはかなりイメージ変わりましたね。というより初期の頃はおそらくイメージ戦略だったのでしょう。シティーポップというと若干路線ずれますが、時代としては最っ只中。メディアではロックバンドと表現されることもありますが私のなかではそれはない。歌謡曲&ポップス==和&洋をうまくブレンドしたといいますか、ポップスよりの歌謡曲といいますか、ステーキに醤油ダレ、美味しいですよね。そこに点描でロック風味の香辛料、そんな感じです。
もしかしたら男性芸能人ではじめて好きと思えた方かと。さすが多感な高校三年生、私の細胞壁にまでへばりついた氏はいまだに剥がれませぬ。

ベストアルバム
①安全地帯Ⅱ
②安全地帯Ⅳ
③安全地帯Ⅲ~抱きしめたい~
安全地帯に関しては十何枚アルバム出ていてもこの三枚で完結。それぞれのアルバムの色をそのまま音像にしたかのようなジャケット。A面B面同構成で熱っぽさも伝わるⅡ、全編通してやさしさ、暖かさのあるⅣ、一曲目から無機質なドラムからはじまり湿り気、冷たさから抜け出さないⅢ。
ギターサウンドも超独特。大雑把にいうと時にゲイリームーア・演歌のごとくタメにタメ込むディストーション担当の田中氏(顕著なのがスターダストのなかのジェニーMY LOVE)、クラシックギターを感じさせるクリーン担当の武沢氏。主に武沢氏の功績が大きいと思われるクリーンサウンドは安全地帯以外で聴いた事がない。
やはりファーストアルバムからプロデュースに関わった星勝氏との作業は非常に大きいと思われます。次作のⅤは当時レコード三枚構成、何十曲と聴けるのか!と超期待してみればオリコンでは一位を獲得するも散漫な印象しか受けず相当落胆した覚えがあります。それ以降も聴くも細胞壁までには届かず腸で消化するで精一杯。ただ2010年以降も決して悪くはない。《蒼いバラ》はついにワインの再来か!と微笑んだ。《THE BALLAD HOUSE》は新録のうえ私の好きなバラードが多数収録されていてほぼ原曲に近い歌いまわしで超好感。《ソルトモデラート・・》なんかはソロと安全地帯のブレンド。私のなかでは安全地帯は演歌でも歌謡でもなんでもいいんです。もしかしたら死ぬまで我が細胞壁から剥がれることはないかもしれません。