人間椅子

ほぼ私と同年代。恥ずかしながら正直言いましてHM、HD歴そこそこ長い私でもこの方たち聴き始めたのは数年前。YouTubeでたまたま観た《針の山》で私の細胞壁にジワジワ浸透。「こんなスゲーバンドだったんだ」と速攻レンタル開始(スマヌ、だって枚数ありすぎなんだもん)。やはりね良くも悪くもイカ天のイメージ強すぎた。当時番組の勢いが高まりすぎて結局一発集合体番組と認識してしまったんです。人間椅子ももちろん観ていましたがすべてのバンドが【イカ天】フィルターを通しているため純粋にひとつのバンドとして見ることができない。ある意味今【人間椅子】と出会えたことですでにフィルターが取り去られた分、純粋に楽しめるんです。
元々私、日本のHM、HDバンドって好きでないんです。とくにスピードメタル一辺倒の英語歌詞なんかだと国外にすり寄っていこうという【憧れ姿勢】に見えてしまって日本に背を向けた音楽として受け止めてしまう。その点この方たちはHM、HDというスタイルを基盤に日本(というより椅子として)のメロディーと歌詞でハンダ付け。ハードロックにお経なんてピザにたくあん。が、このハンダ付けが実に見事。そのうえピザにたくあん歴30年って・・初期の不遇時代に大幅路線変更してても不思議ではない。和嶋氏なら良い演歌も創れますよ。鈴木氏も同様ミュージシャンというよりアーティストとしてみています。音・文字・絵すべてが【上手い】ではなく【旨い】。
ヴォーカルひとつとってもマイケルキスケのような低音から高音までという伸びやかさ・・はない、トニーハーネルのような透き通る美声・・はない、なんだかわからないけどただただ引き込まれる、例えばヴォーカルなら《命売ります》の【助けて~~】や【救うって~~】の歌いまわし等言葉にできないとはこのこと。感じて味わうだけ。
とは言うもののいいことずくめではいきません。私の感性のなかでこのバンドは曲の出来不出来の落差が激しい。よってアルバム単位でのMy名盤が無い。これは音楽が音もデバイスも時代とともに圧縮され嫌いな曲は削除し好きな曲だけでシャッフル、一つの作品として触れることがなくなった背景もありましょう。ただ一人の人間の良し悪しが音楽に反映されているようで非常に人間味を感じます。50↑になっても中心線も作れずブレブレの私にとっていつまでも希望の光をみせてくれるバンドであってほしいと願うばかりです。

前述したようにベストアルバムがないためベストソング
①品川心中
②芳一受難
③虚無の声
④無情のスキャット
⑤ねぷたのもんどりこ